体罰と戦争

LOVE&ピース。

こんばんは。

北九州市八幡東区・えん療術所の井上尚子です。

 

ゆっくりとした時間が続いておりますし、

図書館もまだお休みなので、ウチにある本を読みなおしております。

 

 

「体罰と戦争~人類のふたつの不名誉な伝統~」

森田ゆり・著。かもがわ出版。

 

この本では

 

《体罰》と《戦争》には多くの共通点があり、

それらは、子ども時代に《自分の本当の感情に向き合わないこと》によって助長され、正当化され、

さらにそれは《ジェンダー》という問題もはらみ、特に《男らしさ》を強要する社会通念が根底にあることで根絶を難しくしていることを

 

過去の事例をとおしてあぶりだしていきます。

 

取り上げられるふたつの事例は、

ファシズムの代名詞ともいえるアドルフ・ヒトラー。

そして、池田小学校襲撃事件を起こした宅間守。

 

ヒトラーは体罰を受けて育ちます。

【両親によって傷つけられ辱められながら、しかしその、自分を傷つけ辱める者を敬い愛さなければならず、自分の受けた痛みをどのようなことがあっても表に出してはならないという命令に服さねばならない子どもの内部では一体何がおこるでしょうか】(本文より抜粋)

 

分かりやすく言えば、子どもの中で《弱い者いじめが正当化》されていく。

 

それがそのままおとなになる。

 

そして悲劇なのは、当時多くの子どもが体罰を受けて育っており、

ヒトラーの暴走を止めるどころか《弱い者いじめ》に加担し、大衆心理によってファシズムはより勢いを増していくことになる、という歴史的事実。

 

また、宅間守は父親に殴られる弱い母を見て育ち、自身もひどい体罰を受けながらも、泣いたり屈服したりというような《女々しい》態度を否定され、《男らしく》あるように強要されていきます。

 

結果、彼は弱い者を攻撃するようになり、特に女性への激しい蔑視をあらわにしていきました。

著者の森田ゆりさんは、宅間の裁判の傍聴に通い続け、その様子をつぶさに記録していますが、とくに彼の強烈な暴力性をおびた女性蔑視発言は身震いするほどです。

 

この両者に共通するのは、

幼いころに自分が感じた弱さや、悲しさや、寂しさや、恐れを感じる心を否定し続けてきた、ということ。

 

それが、やがて戦争容認や暴力的な犯罪に結びついていく。

それはだれも否定できないでしょう。

 

 

さらに森田さんは以下のようにも指摘しています。

 

【体罰やネグレクトなど虐待の形はとらなくとも、幼児の頃から親の過度な期待を負わされ続けた子どもたちも、自分の価値を認めることができずに、自分の弱さを嫌悪し、自分を憎み、自分の心身をいじめ、ときにはそれが他者へのいじめと攻撃になります。】(本文より抜粋)

 

ここでは、母親の期待を一身に受けて名門小学校に進学した男児による、妹いじめの事例が出てきます。

 

現在、体罰や虐待などの「わかりやすい」おとなによる子どもいじめは、社会的には否定されるようにはなりましたが(しつけと称した体罰はいまだ容認されている現状もありますが)、

 

過度におとなの期待を押し付けられ、子どもの成長が歪められている事例は、

個々人の問題として処理され社会問題化していないため、そこかしこに当たり前に存在し、おとな側が問題意識をもっていないことが往々にあります。

 

わたしはそれが、ものすごく問題だと感じています。

 

どんな子ども時代を過ごしてきたか。

その如何によっては、戦争を容認したり、簡単に人権を無視して犯罪に走らせる萌芽を育てているとも言えます。

おとなは真剣に考えなければいけないことです。

 

しかし、この本の最終章で描かれるのは、ひとつの希望です。

 

父親による体罰を受けて育ち、スターになるように、とおとなから過度の期待をかけられたマイケル・ジャクソン。

彼は、そのひどい育ちを克服し、世界的なポップスターとして成長していきます。

 

マイケルは音楽の中で、ひたすらに《子どもを守ろう》と訴え、

事実子どもたちを支援する団体をはじめとして、世界中の慈善事業団体に多額の寄付を送っています。

 

マイケル・ジャクソンのPVには、内戦や飢餓などで傷ついた子どもたちの姿がたくさん映されていますが、

それは、彼らの状況を世界に発信することで、無関心なおとなを減らしたいとのマイケルの祈りがあらわれているようです。

 

彼が虐待を受けながらも、同じことを繰り返すおとなにならずに済んだのは、

ひとえに、彼が心底好きだった音楽に出会えたから、と言えるかもしれません。

音楽は、彼にとって《救い》だったのでしょう。

 

もうすぐ終わる休校期間を、子どもたちはどんな風にすごしたのでしょうか。

好きなことを見つけたかな。

楽しいことを思う存分できたかな。

 

「体罰と戦争」の紹介をするとともに、

すべての子どもたちが幸せであることを願ってやみません。

 

ではでは、みなさま健やかにお過ごしください。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

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どちらも、みなさまの健康の一助となることでしょう。

北九州市八幡東区・えん療術所でお待ちしております。

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えん療術所 *イトオテルミー療術師 井上尚子*
【受付】 9:00~
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