LOVE&ピース。
こんばんは。
北九州市八幡東区・えん療術所の井上尚子です。
長いこと、観たくて観たくてたまらなかった『ラサへの歩き方 祈りの2400km』が、
福岡市総合図書館のシネラでやっている「アジアシネマ・パラダイス」のなかで上映されると知り、
はるばる?行ってまいりました。
先週、一度観て、あまりにも感動深く、
どうしてもまた観たくなって、また今日も、はるばる観に行きました。
以下、ネタバレ含みます。
チベット仏教の聖地ラサへ巡礼する、小さな村の村人11人のロードムービー。
11人の中には、老人、子ども、妊婦さんもいる。
村からラサへは1200km。その奥の神山カイラス山へは、さらに1200km。
それを、仏教におけるもっとも丁寧な礼拝「五体投地」で進んでいくわけです。
巡礼の途中、いろんなことが起こるんだけど、
この巡礼者たちは、それを淡々と受けとめる。
荷物を運ぶトラクターが大破したり、
赤ちゃんが生まれたり、
落石があったり、
お金が底をついたり。
なにがあっても、怒ることなく、騒ぐことなく、ただただ祈り、五体投地を続ける。ズルすることなく、歩き続ける。
「巡礼とは、他者のために祈ること」
という言葉が出てくる。
自分が災難に見舞われても、他者のために祈り、みんなの平安を祈る。そして、自分自身のしあわせも祈る。
物語の終盤、
この巡礼の旅のきっかけを作った老人が亡くなる。
老人は、死の少し前から咳が出ていたが、特にみんなの重荷になることはなく、五体投地の巡礼を続けていた。
そして、ある朝、老人は起きてこなかった。
その死すらも、巡礼者たちは淡々と受けとめ、老人を神山カイラス山で鳥葬に付す。
この映画には、BGMがない。
聞こえるのは、
手に履いた木靴で合掌する音、
風の音、
ゆっくり進むトラクターの音、
巡礼者の横を通り過ぎるトラックの音、
そして、祈りの声。
☆
こんな地味な映画に、なんでこうも心奪われるのか、、、われながら面白いなあと思う。
きっと死生観を含む世界観が、とても近いんだな、わたしと。
なんでか分からないけど、歩くことが大好きな私は、このスピードがとても心地よい。
そして、日本では死体遺棄という犯罪になってしまう鳥葬に、じつはとてもあこがれている(笑)。
人間は、自然から離れては生きていけないわけで。
いや、離れてもいちおう生きていけてるように見えるけど、それはやっぱりどっか狂いながら生きてるわけで。
自然界ってのは、「自分さえよければ」って価値観がない。
「他者のために祈る」というのは、崇高なことに見えるが、とても自然なことなのだと思う。
自分が、自分が、と思っているときは、じつはとても苦しい。わたしも経験がある。
その縛りを緩めて、隣の人の平安を祈ったとき、自分も平安になる。
なぜなら、それが自然だからだ。
なかなか上映される機会はないかと思いますが、チャンスがあったら観てみてね。
ではでは、今夜も素敵な夜を。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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